
(ZEUS: ゼウスコンデンサのマイカコン)
マイカコンデンサはコンデンサの中でも経年劣化が最も優れており、大きな容量を作れない欠点を除けば最高のコンデンサと呼ばれます。ところで、古い鋳込マイカコンデンサは定格がカラーコードで表記されているものがあり、はじめて見ると面食らってしまいます。
JIS 規格 (JIS-C-6439) のカラーコード

JIS-C-6439 によれば、マイカコンデンサのカラーコードは下記の通りです。
- 等級 (くろ:X, はいいろ: Y, あか: Z)
- 静電容量有効数値第1字
- 静電容量有効数値第2字
- 乗数
- 静電容量許容差 (あか: 2%, みどり: 5%, 銀色: 10%, くろ: 20%, 金色: 5%)
- 特性 (くろ: A, ちゃいろ: B, あか: C, だいだい: D, きいろ: E, みどり: F)
- 定格電圧 (だいだい: 300V, みどり: 500V, しろ: 1000V)
有効数値と乗数は通常の CR と同じです。たとえば「ちゃいろ、くろ、あか」なら 1,0,2 なので 1000pF となります。
7. の定格電圧については、数字を表記すればカラーコードは省略可能となっています。5. の許容差は、一部のメーカに限り JIS 規格外の金色も使用していました。
等級表
| 等級 | 使用温度範囲 |
|---|---|
| X | -55~+85degC |
| Y | -30~+85degC |
| Z | -30~+85degC |
特性表
| 特性記号 | 温度係数 | 公差 | tanδ |
|---|---|---|---|
| A | 規定なし | 規定なし | 表の3倍以下 |
| B | 規定なし | 規定なし | 表の値以下 |
| C | ±200ppm | ±(0.5%+0.5pF) | 〃 |
| D | ±100ppm | ±(0.3%+0.1pF) | 〃 |
| E | -20 ~ +100ppm | ±(0.1%+0.1pF) | 〃 |
| F | 0 ~ +70ppm | ±(0.05%+0.1pF) | 〃 |

実際には・・・JIS 通りではない
(冒頭のコンデンサの表記)
茶色のボディーにカラーコードは読みづらいことは置いておいても、冒頭のコンデンサは T.V. 1000V の 3000pF なのですが、図で示した表記は JIS-C-6439 の表記と一致しません。
JIS-C-6439 よりも古い規格で JIS-C-6417 がありますが、そこではカラーコードは定義されていなかったようです。
マイカコンデンサの規格には、戦前に制定された旧 RMA 規格があります。旧 RMA 規格は米国の規格ですが、日本のコンデンサメーカの一部は長いことこの旧 RMA 規格を採用していました。冒頭のコンデンサもそれに従っているようにみえます。色点は「だいだい、くろ、くろ、ちゃいろ、くろ、みどり」で 3000pF と合います。6. の使用電圧は緑色なので 500V になりますが、これは T.V. 1000V, W.V. 500V の意味と考えられます。
旧 RMA 規格のカラーコード
- 静電容量有効数値第1字
- 静電容量有効数値第2字
- 静電容量有効数値第3字
- 乗数
- 静電容量許容差 (赤: 2%, 金色: 5%, 銀色: 10%, 無色: 20%)
- 使用電圧 (だいだい: 300V, みどり or 無色: 500V, 金色: 1000V, 銀色: 2000V)
新 RMA 規格のカラーコード
一方、一部メーカは 1944 年制定の JAN 規格や 1948 年の新 RMA 規格によるカラーコードを使用していたようです。これらの規格では、色点 1. がコンデンサ規格を示します。
- コンデンサ規格
- 黒: JAN C-5(1944)
- 白: RMA (1948)
- 静電容量有効数値第1字
- 静電容量有効数値第2字
- 乗数
- 静電容量許容差 (あか: 2%, みどり: 5%, 銀色: 10%, くろ: 20%)
- 特性
コンデンサの実例

写真には見えませんが、このコンデンサは裏面に 100pF と印字されています。旧 RMA 規格と考えられるカラーコードは色点は「ちゃいろ、?、くろ、くろ、金色、みどり」なので 100pF ±5% W.V. 500V と読み取ることができます。2桁目は色の入れ忘れかと思います。
実際には、同時期に製造された筐体に色点のくぼみがあるコンデンサでも、カラーコードがあるものとないものが混在しています。
参考
- NEC Electronics Data Book (1964)
- JIS (1953)
- 双信電機カタログ(1964)