
(AY-3-8603 のゲーム画面)
GI 社のゲーム LSI AY-3-8600 シリーズは、1970 年代に発売された TV ゲーム用ワンチップ p-MOS LSI です。LSI 単体としても発売され、国内でも多く遊ばれました。Pong ができる IC (AY-3-8500) の後継として設計されたもので、遊べるゲームも多くなっています。一方、同時期の他社製 LSI がワンチップでカラー出力に対応していたのと比較して、AY-3-8600 シリーズは pMOS の周波数の限界でモノクロ出力しか対応していません。
専用の外付け LSI(AY-3-8615)を使うことで NTSC カラー出力が可能です。GI は AY-3-8615 側 (+RF モジュレータ) をゲーム機本体、ゲーム LSI 側はカートリッジとして、差し替え可能なゲーム機システムを提案していました。
バリアント
このシリーズには、以下の LSI が存在します。
| Type | Game | Player | Control |
|---|---|---|---|
| AY-3-8600 | 8 Games (B&P) | 2P | Joystick |
| AY-3-8603 | Roadrace | 2P | Potentiometer |
| AY-3-8605 | Sea Battle+Space Battle | 1P/2P | Potentiometer |
| AY-3-8606 | Wipeout | 1P/2P | Potentiometer |
| AY-3-8610 | B&P + Hockey + Gridball | 2P | Joystick |
| AY-3-8615 | Color Converter |
いずれも CPU の介在しない、ハードワイヤードの初等的なゲームなので、子供たちに受け入れられたのは数年間であったと思います。カセットビジョンをはじめとする家庭用ゲーム機や、マイコンゲームのような高度なゲームの登場で、1980 年代にはわざわざゲーム用 LSI を買って回路を作るような行為はすたれてしまいます。
| Property | Value |
|---|---|
| CLK | 3.58MHz |
| Vcc | 7.5-9V |
ピン配置はそれぞれの IC で異なります。それぞれ 525ラインの NTSC 版 (-1) つきと 625 ラインの PAL 版 (-1なし) があります。

最小動作回路
AY-3-8600 を動作させるためには、電源回路のほか、コントローラ、映像出力回路、音声出力回路、クロック回路が必要です。必要なコントローラ周辺回路と音声出力回路は IC によって異なります。
映像出力回路

IC の映像出力端子は、負論理で オープンドレイン出力となっているようです。モノクロ出力の場合、図のような抵抗回路で映像信号を生成します。冒頭のゲーム画面は図の回路出力を PC でキャプチャしたものです。
クロック端子には VDD レベルのクロックを入力します。4049UB を使ったクロック回路も使用可能ですが、セラミックレゾネータを使って図のような NPN Tr による発振回路を作ると簡単です。
映像出力
当時のテレビは RCA 端子のような映像入力端子がないため、(RF モジュレータ) で UHF や VHF に変換してアンテナ線に入力するものが標準回路でした。現在では、NPN Tr 1石のバッファでモニタに入力するのがよいでしょう。アナログ入力対応の LCD の多くは NTSC, PAL 入力に対応しているので、日本でも NTSC にこだわる必要はありません。
AY-3-8600 シリーズで 10kΩ VR を使う

AY-3-8600 はジョイスティックによる操作に対応しています。CR 回路の時定数により、パドルや物体の表示位置を変更する仕組みです。
標準回路では、抵抗値は 100kΩ が指定されていますが、現在入手の容易なジョイスティックは 10kΩなので、そのままでは使用できません。LSI 内部の抵抗値の関係で、C を 10 倍にしてもだめです。
10kΩのジョイスティックを使う場合、図のような PNP Tr のバッファ回路を追加することで対応可能です。C の容量で感度を調整しますが、C = 6.8 – 10nF 程度がちょうど良くなります。センター調整する場合 VR と直列に抵抗を挿入します。